【フリーランス経営哲学講座】#14 フリーランスは株式会社にするべきかについて

読者

フリーランスになるなら、株式会社にした方がいいですよね?個人の名前でやっていると信用されずに仕事を任せてもらえなさそうです。

栗林

フリーランスとしてやっていくときに、株式会社のほうが信用されるのか、個人名だと信用されなくて仕事が来ないのではないか、と不安になる人は多いです。そこで、フリーランスは株式会社にするべきなのか、について話をします。

お客は「納得できる商品が買えるかどうか」しか見ていません

栗林

まず、株式会社だと信用されて、個人名だと信用されない、なんてことはまったくないです。徹頭徹尾、そんなことありませんから、安心してください。

読者

そうなんですか?特に法人のお客さんを取る時は、株式会社じゃないとダメだと思っていました。

お客が見ているのは、株式会社かどうかではなく、商品そのものです。

みなさんの場合だと、提供する作品そのものですね。お客は、自分が納得できる商品が買えるかどうか、そこだけを考えています。

株式会社を作って自信のなさを隠そうとしているんです

みなさんビジネスをやったことがないから、株式会社という肩書をすごそうだと思ってるんです。自分がお客の時は売っている人の肩書なんて見向きもしなかったくせに、自分がビジネスをやろうとすると、急に肩書を気にし始めるんですよ。

読者

私も商品を買う時に販売者が株式会社か個人かなんて気にしていないですね。なんで自分がやる時は株式会社じゃないとダメだと思っていたんだろう…

栗林

じゃあ、ビジネス未経験の人がどうして株式会社だと信用されて、個人名だと信用されないと思ってしまうのかというと、自分の売っている商品に自信がないからです。

もっと端的に言えば、自分のビジネス、自分のやっていることに自信が持てないんですね。だから、ビジネスをやるからには肩書ぐらいちゃんとしないと、と思ってしまうんです。

肩書を立派にして、自分の自信のなさを隠そうとするんです。

栗林

でも、こちらに相談するときには、自分に自信がないから肩書きぐらいちゃんとしないとなんて言えないから、個人名だと信用されないから株式会社にしたほうがいいですかね、って言うんですよ。中身がない人ほど、肩書にこだわるんですよ。

むやみに株式会社を作ると税金で損します

株式会社って、作ってみるとわかるんですけど、誰でも簡単に作れるんですよ。1人株式会社ってなんの問題もなく誰でも作れますからね。だから、すごくもなんともないです。

読者

株式会社を作って社長をやる人はすごいと思っていました。

じゃあ、株式会社って何のためにあるのかというと、個人事業主とは税金の考え方が全然違うので、税金で個人事業よりメリットがあるときに作るものなんです

ということは、フリーランスで株式会社にしたいという人は、税金のメリットとデメリットを当然に知っていなければならなくて、それを知らなくて株式会社にしようかどうしようかって迷うのは、税金で損をするのが目に見えてるんですよ。

社長は意外と自由じゃありません

栗林

で、税金の話を全部してると違う講座になっちゃうので、みなさんがあまり知らなさそうなところを中心にお話します。会社を作ってみて、えっ、そうだったの?みたいなところからお話します。税率の話とかはネットでいくらでも出てるので、自分で調べてみてください。

まず個人と株式会社で大きく異なるのが、給料ですね。個人は稼いだ分だけすぐに自分の給料にできますけど、株式会社は違います。一人で会社を作ると、みなさんは当然代表取締役社長になるので、役員になるんですね。

でね、この役員がもらう毎月の給料のことを役員報酬って言うんですけど、この役員報酬って、年に1回の決算期のときしか変更できません。

読者

社長は会社を自由にできて、給料も自由に決められると思っていました。

社長の臨時ボーナスは税金で持っていかれます

ということは、年の途中ですごく儲かったからといって、来月から急に自分の給料を増やそう、ってできないんですよ。従業員の給料なら増やせますけど、取締役っていう役員の月給は、年の途中で変更できないんです。

するとね、予想外に利益が大きく出ても、自分の手取りは増やせなくて会社の利益として残って、会社の利益には法人税がかかってくるわけです。けっこう、融通きかないでしょ。

それなら、役員賞与っていって、役員にも臨時ボーナスが出せるからそれでもらえばいいじゃん、って思う人もいるんですけど、役員賞与は税金が高いんですよ。

栗林

というわけで、会社として儲かったとき自分の取り分を急に増やすことが難しい、ってのが株式会社なんです。

読者

社長なのに途中で給料増やせないないんですね。想像していた社長像とちょっと違います。

個人事業なら、残った利益が全部自分の取り分ですから、こういうめんどくささはないんですよ。

株式会社のメリット「赤字は7年間繰り越せる」

株式会社のいいところとしては、赤字は7年間繰り越せる、っていうのがあります。例えば1年の収支を計算してみたら、1000万円の赤字でしたと。

この場合、会社の預金が前年より1000万円減ったことになりますよね。そして次の年に1000万円の利益でしたという場合、本来なら1000万円に法人税がかかるんですけど、前年に1000万円の赤字があるからその1000万円で利益を削っていいですよ、ということができます。

栗林

こうすると、1000万円の利益を1000万円の赤字で削りますから利益0円ということになって、法人税は0円になるんですよ。

ということはね、決算期直前に広告費を投入して意図的に赤字を作って法人税を0円にして赤字を繰り越したり、という技が使えます。

読者

税金を払うくらいなら広告にお金を回すんですね!

それをやるぐらいの事業規模があればですよ。個人事業だと、その年の利益にはすべて税金がかかって、赤字の年は税金が0円になりますけど、赤字分を次の年以降に繰り越せるってことはないです。

株式会社を作る基準「事業が安定し法人税より高い税金を払っている」

栗林

ということはね、株式会社にするなら、ある程度は事業が軌道に乗っていて、安定して売り上げや利益があって、そのうえで法人税より高い税金を個人事業で支払っている場合にメリットがある、ということです。

読者

「カッコイイから!」なんて理由で株式会社を作っちゃダメなんですね。信用度も上がりませんし。

今フリーランスで、そのような状態にあるなら、株式会社を検討してもいいですよね。

笑っちゃいけないんですけど、法人税の税率も知らないのに株式会社にしてみたいんですけど、って相談を受けることがあるんですよ。

あの、もうちょっとね、お金とか税金とかにどん欲になろうよ、ってお伝えしたいです。

あとね、商売をやったことがない人が、いきなり株式会社から始めることはないですよ、ってこともわかっていただけたかと思います。

本日は以上です。

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