価格に中途半端な端数が多いのは「安さ」のアピールにつながるからです。1000円と980円では20円しか違わないのに、980円はすごく安く感じます。これは「大台割れ」と言って、桁が下がるとステージが変わったような感じがして、すごく安くなって得したような感じになるんですよ。
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20円の価格差が100円の価格差につながる理由
人間って物事を捉えるときに、1円単位まで気にするんじゃなくて、だいたいの大枠と言うか、枠組みで捉えます。そうやってシンプルに捉えたほうが脳みそがラクだからです。1000円の商品は1000円台という枠組みで、980円の商品は900円台という枠組みになります。
枠組みで捉えると、わずか20円の価格差が100円もの価格差になるわけです。人は、細かい端数をすっ飛ばして、大枠でとらえちゃうんです。だから、商品価格は端数が多くなるんですね。
20円と100円で5倍も違うのに、大枠で捉えると100円なのは興味深いです。
ちなみに日本では、端数が8になることが多く、欧米は9が多いですね。その昔、サイゼリアは商品価格がすべて9でした。ミラノ風ドリアは299円、ハンバーグステーキは399円でした。あれは、欧米の端数9をそのまま採用したからなんですよ。サイゼリアを指導したコンサルタントがアメリカ理論だったので、9になったんですね。
今のサイゼリアは、安さのイメージが十分に浸透したのと、端数の小銭処理が面倒ということで、端数はやめにしましたけどね。ただ、安さのイメージを定着させるために、端数ってそれぐらい大事だったということです。
数円、数十円の違いでもお客さんに与える印象は大きく異なるんですね!
端数表示で安さをアピールする
ちょっと余談ですけど、日本人の30%ぐらいは、小学校5年生の教科書レベルの算数ができないんですよ。だから、2割引きがいくらなのか、計算できない人って30%ぐらいいるんです。
算数を学んでから月日が経つと、忘れますよね。
こういう人たちは、1割引きってちょっと安い、2割引きってまあまあ安い、3割引きってだいぶ安い、という感覚なんです。そういう人たちでも、普通の人として普通に暮らしてますよ。
で、そういう人たちに安さをアピールするには、端数表示は本当に有効なんです。これは日本だけじゃなくて、世界中一緒なんですけど。最近、日本のスーパーで何割引きという表示が減ってきて、何円引きという具体的数字の表示が増えています。これは、何割引きだとどれくらい安いかわかりにくい、というお客の声を反映したからなんです。それぐらい、割引計算ができない人が多いんですよ。
消費税で売上が下がり消費が冷え込む
消費税ってものすごく日本経済を悪化させたんですけど、その原因の一つに価格表示があるんですよ。日本は税込み表示のみか税別と税込みを両方記載するかというルールがあるんですけど、このルールが最悪なんです。
何が良くないかというと、税金分表示価格が高くなるから、購買意欲が下がるんです。税込み価格で端数の8や9って、低単価の小売り業では難しいんですよ。
だから安さを感じてもらえなくて、売り上げが下がって消費が冷え込むんです。
消費税を考えて端数にするのは計算がめんどくさそうですね。
日本が気づいていない大きな経済損失
アメリカはすべて税別表示のみなので、レジに行って初めて税金が加算されるんですけど、州ごとによって税率が異なるので税別表示になってます。この、アメリカ表示方式のほうが絶対に消費は活性化するんですけど、日本はやらないからダメなんです。
税別と税込の表示で、消費が変わるんですか?
日本はレジで合計金額がわからないからという批判があって税込み表示になったんですけど、
そんな批判に配慮するよりも経済損失のほうがはるかに大きいことに気がついていないんですよ。
しょうもない政策「レジ袋有料化」
この価格表示ルールを変更するだけで、景気は今よりもすぐに上がるんですけどね。ちょっと視点が違いますけど、レジ袋有料化も同じです。
スーパーのレジ袋を有料化したら、ホームセンターや100均のビニール袋の売上が急増してしまって、プラスチック袋のトータル生産量はまったく減らないというね、プラゴミ削減にはまったく効果がなかったうえに不便になっただけという、しょうもない政策なんですよ。
何のためにレジ袋を有料化したか分からないですね…
今日エコバック持ってないから買うのやめよって人もいるんですよ。その積み重ねが、どれほどの経済損失かというやつですね。経済政策って、素人の意見は反映させてはいけないなって、つくづく思いますよ。
端数を使ったらイメージが悪くなる商品
端数を全く使わない商品価格というのもあります。それは、安さをアピールしないほうがよい高級品やブランド品ですね。高級品やブランド品は端数を使わず、キリの良い数字になっています。あれは、安さよりも高さやブランド、入手困難さがウリなので、端数にしたらかえってイメージが悪くなるわけです。価格の絶対的な高さというのは、あまり関係がないです。
たとえば車は高額ですが、生活必需品として購入する人が多いので安いほうが良いですから、何百万円しても端数表示があったりします。でも、ヴィトンやロレックスが端数で安いから買うのを決めた、と言う人はあまりいません。むしろ、高く買ったことが自慢なくらいです。だから、端数表示はないんですね。
安く見せるには端数表示あり、高級感を出すには端数表示なしですね!
ちなみに、フリーランスも端数表示をなくした価格にすると、自信の表れとなりますので、そういう自信ありげな路線でやっていくのも全然アリですよ。今日は以上です。
お店に行くと、980円や1480円など中途半端な価格が多いです。なぜ商品の価格は中途半端なんですか?