【フリーランス経営哲学講座】#37営業のやり方

読者

フリーランスは全て一人でやらないといけないので、営業を勉強したいです。会社員時代に営業の経験がないのですが、やり方を教えていただけますか?

栗林

今日は「営業」のやり方についてですね。営業というのは、見込み客に対して個別に売り込みをすること、です。具体的にどうやるのか見ていきましょう。

営業の仕事は8割が見込み客リスト集め

見込み客と言うのは、自分の商品やサービスに関心がある人のことです。例えば、自分が住宅の建築屋さんだったら、これからマイホームを建てたがっている人が、見込み客になります。

栗林

で、これから家を建てたい見込み客がどこにいるかといえば、アパートとか賃貸マンションにいて、家族で住んでいる人ですよね。もうすでにマイホームを建てて住んでいる人は、見込み客にはならないですよね。

あと、子供がいると広い家が欲しくなりますから、独身者より家族で賃貸に住んでいる人のほうが見込み客になりやすいのは、わかりますよね。

で、営業の仕事って、8割が見込み客リストを集めることで、残りの2割が個別に売り込むことなんです。で、組織で営業する場合、部長とか課長とかの管理職が、訪問先リスト、つまり見込み客リストですね。そういうリストを集めてきて、営業マンの訪問先を決めるんです。

営業マンは見込み客リストを集められません

営業マンは決められた訪問先リストに沿って個別訪問をして、売り込みをしていきます。ここで大事なのは、訪問先リストを集めてくるのは部長とか課長とか管理職の仕事で、営業マンの仕事ではないってことです。

読者

営業マンが訪問先リストを集めてくると思っていました。

栗林

どうしてここが大事かというと、見込み客リストを集めるのって、広告宣伝をやらないといけないから、組織として大掛かりな仕掛けが必要なんです。例えば住宅販売だったら、アパート世帯に向けたポスティングとか、テレビCMとかネット広告とかですね。そういうのって、お金も手間もかかるから、営業マン個人ではできないんですよ。

そうやって大掛かりな仕掛けで集めたリストに対して、個別営業を仕掛けて注文を取るんです。つまり、営業っていうのは本来組織戦というかチーム戦であって、個人がどうのこうのではないんです。

見込み客リストの生命線「質の良し悪し」

一番ダメな営業部隊と言うのは、営業マン個人にリスト取りをやらせるところなんです。やとわれの従業員って、大した経費は使えないから、人脈とか実績とかを駆使して見込み客リストを自分で作って自分で訪問するんだけど、それだと見込み客リストの数が少なすぎるんです。

あるいは、見込み客の購買意欲がすごく低かったりして、リストの質が悪かったりします。こうなると、いくら気合と根性で頑張っても、とにかく売れないんです。そう、

見込み客リストって、質の良し悪しがすごく大切なんです。

読者

既に住宅を持っている人に住宅を売っても売れませんよね。

栗林

質の良い見込み客リストだと、商品やサービスの紹介をしただけですぐに売れます。反対に質の悪い見込み客リストだと、邪険に扱われて冷たく断られるばかりで、ちっとも売れないです。こうなると、営業マンの腕の問題ではなく、リストの質が売り上げのすべてを左右するんですよ。

SNSのDM営業はやめてください

他のデザインスクールで営業のやり方を教えているってことで、その内容を聞いたんですよ。そしたら、SNSで片っ端から「無料で作ります」みたいなダイレクトメッセージを送るという方法らしいです。今の話を聞いたら、この方法がいかにダメかわかりますよね。

読者

いくら気持ちを込めてメッセージを送っても、リストの質が悪かったら無駄ですね。

SNSでDMを送る相手は、どうやって選びだしたんですか?選び出したその相手は、質の良い見込み客リストですか?買う気のない人にDMをランダムに送っていたら、それはただの迷惑メールです。

栗林

だからね、デザインスクールって本当にビジネスとか営業とか何も知らない人が、わかったふうにもっともらしく、間違ったことを教えているんですよね。だいたい、そんなやり方で仕事が取れているなら、日本中の他の企業がSNSでDM送ってますよ。

でも、そんな事どこもやってないですよ。だから、そんなんじゃ仕事が取れなくてあたり前なんですよ。

注文率が極端に高い営業マンは必要ない

あと、営業の話をもう少しすると、見込み客リストに対して営業をかけたときの注文率というのがあって、この注文率は、営業マン個人個人で差があってはいけないんですよ。営業トークの導入部分、商品説明、価格説明、契約手順説明など、全員がすべて同じ資料を使って同じトーク内容をしなければなりません。

ある人は最初に会社パンフで説明するんだけど、ある人は会社パンフを持たずにいきなり商品サンプルを見せて説明する、というのは絶対ダメなんです。どういう営業道具を使ってどういう営業手順にするのか、全員同じである必要があります。全員の手順が同じだと、注文率が全員同じになります。

これだと、見込み客リストを増やせばどれだけ売り上げが増えるか計算できるから、広告費にかけるお金や営業マンの人数を逆算して算出できるから、経営計画が立てられるんです。あと、注文率の低い営業マンの教育も、画一的だからすごくラクだし、人材レベルが高くなくても契約できるから人材獲得もラクになるんです。

読者

飛びぬけた営業マンがいるよりも、注文率の平均が安定した方がいいんですね。

フリーランスが一人で営業するのは不可能

栗林

もう少し詳しく話すと、営業って1回の訪問で成約しないことが多いです。だから1回目はあいさつ、2回目は専門技術者を連れて商品説明と見積提示、3回目でクロージングといって契約書にサイン、みたいな感じで、毎回営業マンが違ってもいいんです。

野球のピッチャーでいうと、先発中継ぎ抑えみたいな役割分担ですね。先発は御用聞きで、中継ぎは技術専門家で、抑えは課長や部長クラスで決裁権限のある人、みたいな感じです。

このへんを詳しく話すとキリがないのでこのへんにしておきますけど、

営業ってかなり緻密に作戦を組み立てて実行するんですよ。

読者

私がやろうとしていた片っ端からDM営業は、作戦も何もないですね。

で、私はほとんどのフリーランスに営業のやり方を教えていません。どうして教えないかというと、営業って今話したみたいにチーム戦だから、フリーランスが一人でやるには効率が悪すぎるんですよ。

あまりに時間がかかるから、売り上げが伸びないんです。あと、たった一人で見込み客の質の良い訪問先リストを作ることなんて不可能です。だから、一人のフリーランスに営業のやり方を教えてもあまり意味がないので、教えないんです。

フリーランスは営業ではなく集客をしてください

営業のかわりに一人のフリーランスに教えるのは、集客する方法です。

読者

営業と集客って違うんですね。あまり違いが分かっていません。

栗林

ネットが普及する以前でしたら、例えば新聞とかに「家を建てる前に知っておくべき10の心得」という小冊子を無料進呈しますという広告を出して、そこに申し込んできた人に売り込みかけるとか、そういう方法です。

こういうのは業種や地域によってやり方は異なります。そういうのを教えるのが、私の仕事の一部です。

フリーランスの救世主「検索連動型広告」

今は、新聞広告がすべてネットに変わっただけですけど。ちなみに、グーグルの検索連動広告、リスティング広告ですね。あれは、検索キーワードを入力して検索する人は自動的に質の良い見込み客なわけで、そこにセールスページを表示させて売りこむっていう、ものすごく合理的で効率の良い方法なんです。

中小企業やフリーランスにとって救世主のような広告手法なんです。

だって、見込み客リストを作らなくても自動的に見込み客に売り込みをかけられますからね。

栗林

というわけで営業について大雑把に話したんですけど、デザインスクールとかが「営業のやり方も教えます」って言った時点で、営業とは何たるかを知らない人が教えてるんだ、って思ってくださいね。ビジネスの知識が多少でもあれば、成果の出ないスクールを見分けるのなんて、簡単なんですよ。

読者

効率の悪い営業ではなく、検索連動型広告で集客します!

本日は以上です。

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