【フリーランス経営哲学講座】#34ビジネスにおいて心理学を学ぶメリットとは?

読者

人が物を買う時は心理学が関係していると聞きました。「ビジネスで心理学が大事」と言っている人が多いのですが、学ぶとどんなメリットがあるんですか?

栗林

私は心理学を専門的に学びました。その知識を得てそこからどのように見える世界が変化したのかご説明します。

またビジネスにおいて心理学の重要性は「影響力の武器」みたいな本で語られています。Webデザインでは認知心理学という領域で解説をされていますよね。

①心理学ってどういう学問なのか?②現代において心理学がどのように役立つのか?③フリーランスとしてビジネスを営む人間が学ぶ価値があるものなのか?など経験を通じてお話しします。

目指すのは共通性や法則性を見出すこと

まずね、すべての学問に言えることなんですけど、どんな学問も目指すところは、バラバラに見えるものに対して、共通性や法則性を見出すことなんです。

読者

共通性や法則性を見出す…具体的にどういうことですか?

たとえば物質だとね、金と銀と銅は色も硬さも全然バラバラだから、まったく違うものに見えますよね。でも、物質の仕組みを学問で解明していくと、2つ以上の原子が結びついて分子になってるわけです。

栗林

で、原子は原子核と電子に別れていて、物質の違いは原子の並び方だったり、電子の数とスピードだったりね。原子核は陽子と中性子に別れて、さらに素粒子という単位までわかってきました。

こうやってバラバラに見えても、すべての物質はこういう形式でできていることが分かったんですよ。

医学でいうとね、人が体調の悪さを訴えるとき、その体調の悪さは人によってバラバラに見えるんです。でもね、こういう症状は「風邪」という共通性があったり、「花粉症」っていう共通性が見えたり、「癌」という共通性が見えたります。それで、こういう共通性があるなら、こういう対処方法があるんじゃない、って考えるのが薬ですよね。

読者

原子、電子、陽子、中性子は難しいですが、病気は分かりやすいです!

人の考え方や感じ方で共通性を考えるのが心理学

こんなふうにね、物理だろうが科学だろうが医学だろうがね、哲学とか地学とか経済学とか法律学とかでもね、バラバラに見えるものに対して共通性を見出そうとするんですよ。じゃあ心理学は何かというか、バラバラに見える人の考え方や感じ方に対して、共通性はないかな?と考える学問のことです。

栗林

みなさんがデザインの世界で言われる認知心理学ですか。あれは、例えばあるランディングページをみたとき、人は最初と最後はよく覚えているけど、真ん中に書いてあることはあまり覚えていない、みたいな。こういうのを初頭効果終末効果っていいますよね。

これもね、100人が100人ともそうではないんですよ。たまにいるんですよ。真ん中ばかり覚えていて最初と最後をあまり覚えていないやつが。でもね、100人中90人以上は当てはまる法則ですよね。

色や配色に対するイメージも同じです。多くの人はだいたい似たようなイメージを持つんですけど、たまには変な人もいます。でも、多くの人にあてはまる色の法則があるんですよ。色に限らず、文字とか文章とかレイアウトとか、すべてのものにはだいたいの法則があるので、こういうことを知っていると、ビジネスで役に立つのは理解できますよね。

読者

ほとんどのお客さんにあてはまる法則が分かっていたら、ビジネスにそのまま使えますね!無駄な失敗も防げますし。

売り上げが上がるのに共通の法則があります

栗林

私は経営の話をするんですけど、経営もまったく同じで、数字があがる共通の法則があるんですよ。経営の話っていうのはそういう法則の説明と、法則の理由を説明する話なんですね。この経営法則も、例外はもちろんあるし、経営法則も時代とともにマイナーチェンジされていきますね。

でも、大きな基本原則はあんまり変わってないですね。

心理学というのは、認知心理学、社会心理学、生理心理学、人格心理学、臨床心理学とか、いろいろあります。認知心理学というのは、人の考え方や感じ方の共通性を探すやつですね。

読者

ビジネスに、すぐ使えそうですね。具体的にどのように使われるのですか?

認知心理学を上手く使うと臓器移植してもらえます

栗林

例えばね、運転免許証に臓器移植に同意するかどうかって記入欄がありますよね。これがある国では、70%以上の人が臓器移植に同意してて、ある国では30%しか臓器移植に同意しないっていう結果が出たんです。

でね、世界中の学者が国民性の違いとか、経済力や豊かさの違いとか、いろんな研究をしたんですけど、答えが出ませんでした。そんなときにね、ある認知心理学者が気が付いたんです。

30%しか同意しなかった国は、運転免許証に〇をつけたら同意したものとする、というふうでした。日本もこの方式です。ところがね、70%も同意した国の運転免許証はね、〇をつけなかったら同意したものとする、となっていたんです。これって、

多くの人は面倒くさいから〇をつけないだけなんですよ。

だから70%も同意したことになっちゃった。読んではいると思うんだけど、まあいいかってなっちゃうんですよ。自分にとって現実感のないことは、ボールペンとって○つけることすら面倒だっていう。

これって国民性は関係なくて、世界人類に共通する法則だった、ということです。こういう例をみるとね、自分の商売で申し込みのしやすさがいかに大事か、よくわかりますよね。

読者

AmazonプライムやNETFLIXで、解約するのが面倒だからダラダラ続けるのと似ていますね!

集団の考え方や行動の共通性を探す社会心理学

社会心理学は、人が集団になったときの考え方や行動の共通性を探す、というやつです。生理心理学は、緊張すると胸がどきどきして脈が速くなるような共通性を探すやつです。

人格心理学は人の知能や性格の共通性を探すやつです。知能検査も、人の頭の良さを数字で測定して共通性を見出そうとするし、優しいとか怒りっぽいとかもなんとかく共通性がありますよね。あと、こういうことを言われたら人は喜ぶとか怒るとか、そういう共通性をみつけるやつです。

読者

人が喜ぶ共通点を知って実践すれば好かれそうですね!

栗林

カーネギーの人を動かすなんて、まさに人格心理学の応用ですよね。臨床心理学というのは、うつ病とか心の病気に共通性はないかなって探すやつですね。こういうことを知るとおもしろそうだな、と感じる人は心理学を学んでみたらいいと思いますよ。

心理学を学ぶのは時間がもったいないです

でも、ビジネスの必要性とか、売り上げのために学ぶ必要はないですよ。

なぜ学ぶ必要がないかというと、経営とマーケティングって、心理学の塊みたいなものでビジネスに必要な部分の心理学だけを学んでいるのと同じことですから、あえて心理学を幅広く学ぶのは時間がもったいない気がします。好きならいいんだけどね。

デザインとかで認知心理学って言われますよね。ウェブデザインで物を売ることが飛躍的に増えたんだけど、マーケティングで説明するのはちょっと難しいな、ってことになって認知心理学という切り口で説明するようになったんですよ。

栗林

昔は全部マーケティングひとくくりで説明してたんです。認知心理学とマーケティングは、やってることは同じです。

でも、スマホサイトで中古車販売とかね、マーケティングで説明するには範囲が広すぎるし、ボタン配置やレイアウトをマーケティングという概念で説明するのは変かな、ということになって認知心理学という切り口で説明しよう、という流れになってきたんですよね。

読者

マーケティングを学べば認知心理学も自動的に学べるんですね。

勉強は楽しいこと、必要なことだけでいいんです

セールスレターとかコピーライティングとか、商品の構成や保証とか付加サービスなんかは、マーケティングで説明するしかないですよね。だからマーケティングがなくなることはないんですけど、スマホの普及によって認知心理学が注目されたのは間違いないです。

そして、認知心理学という切り口は説明しやすいので、さらに普及していくと思われます。ビジネスに必要な部分だけの認知心理学を説明するサービスがこれからどんどん普及していくと思いますけど、それで十分だと思います。

人生の時間は限られてますから、勉強は楽しいと感じることと必要なことだけをやればいいです。

楽しさを感じるならいいけど、楽しさを感じないなら、必要な部分だけに絞ればいいですよ。

読者

楽しいことと必要なことだけやれば、幸せなフリーランスになれそうです!

栗林

ちなみに、私は心理学の理解が他の人よりたぶん早かったんですけど、ひとつにはマーケティングと経営を先に勉強してたからというのはあります。心理学を最初聞いたときに、マーケティングと経営では当たり前の話を何を今さらごちゃごちゃ言ってるんだろう、って思ったぐらいです。

切り口は違うけど、そんなこと知ってるよ、って思いました。

ビジネスはマーケティングと経営理論だけで十分

最初はマーケティングを勉強したんだけど、マーケティングだけでビジネスは太刀打ちできないことを知って、経営を学びました。

読者

マーケティングと経営は違うんですね。私もしっかり経営を学びます!

栗林

あとは法律の仕事を通していろんな人にあってきて、お金とか恨みとかいろんな感情の乱れに直面したり、不可解な行動をとる人とか、いろんな人を見てきました。そのときに、人はどうしてこんなことをするのか、どうしてこんなことを思うのかとか、その理由を考えて答えをだしてきました。そういうのも、心理学の理解の早さに役に立ってましたね。

話がずれちゃったんだけど、ビジネスのためというなら、マーケティングと経営理論を学べばベースとしては十分で、楽しさを感じるなら心理学という切り口もいいですね、というところです。

あとはウェブデザインとか、業界ごとに多めに必要な分野があるから、認知心理学という分野から学んでおくのもいいかな、という感じです。

本日は以上です。

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