【フリーランス経営哲学講座】#22お客の要望って、どこまで応じればいいの?(後編)

読者

フリーランスをしていると、いろいろなお客さんが仕事を頼んできます。できるだけ要望に応えたいですが、無理な要望をしてくるお客さんもいますよね。採用する要望、断る要望はどのように判断したらいいですか?

栗林

フリーランスをしていると、お客はいろんなことを要求してきます。もちろん要望にはできるだけ応えてあげたいけど、お客の要望にはキリがないし、こちらも時間ばかり取られて大変になってしまいます。

かといってお客の要望を断ってばかりいたら、他にお客を取られてしまうかもしれないですよね。こういう場合、どう考えたらいいのか話し合いましょう。

お互いがうれしい方法「パッケージ化」と裏技「裏メニュー」

栗林

えっと前回の続きってことで、前回は商品やサービスのパッケージ化というのは、お客の8割の要望をくくって画一化するのが最終目標なんだよ、ってとこまで話しましたね。

お客の8割の要望をパッケージ化したらね、お客は脳みそを使わずにあなたを選べますから、お客にとっては楽ちんですよ。しかもあなたのほうはね、お客にあれこれ説明しなくても注文があった時点でやるべき仕事は決まってくるから、作業効率はすごく上がって楽チンなんですよ。

読者

パッケージ化は自分、お客のお互いがうれしい仕組みですね。

でね、こちらのパッケージ化以外のことを要求されたら、断ればいいだけです。だってそれは料金の範囲外だからね。

必要な人にだけ必要な商品を届ける裏メニュー

ただ裏ワザとしてね、追加料金制の裏メニューを用意して、要望のあったお客にだけ提示するという方法があります。

栗林

自分のところの全メニューを最初からすべて提示してしまうと、前回話した100種類のハンバーガーと同じで、お客にとって選びにくくなっちゃうからね。マックやスタバだって、メニュー表にはないけど言えば対応してくれる裏メニューってあるでしょ。野菜多めとかね。

あれは、全部提示するとお客にとって選びにくくなっちゃうから、あえて提示しないんだよね。

読者

必要な人にだけ裏メニューを提示する方法はパッケージ化と相性抜群ですね!

お客からいろいろ言われる2つの可能性

で、商品やサービスを新たにパッケージ化するっていうね、まさに新サービス開始のところから話すとテーマから離れすぎるので、今回はすでに何かのサービスを提供してるとしてね、そのうえでお客からいろいろ言われちゃうけどどうしたらいいですか、ってところからお話します。

栗林

ようやく本題の核心に入りますね。前回も言ったけど、自分がこういうサービスを提供しますって宣伝してて、お客がこちらの提示範囲外のことをいろいろ言ってきたときはね、2つの可能性が考えられます。

読者

具体的にどんな可能性なんですか?

可能性①お客から上から目線で要望を言われやすい

ひとつはね、フリーランスは個人事業だからお客から上から目線で要望を言われやすい、っていう特徴があります。これはね、お客がこちらを見下しているわけだから、断ればいいわけですよ

栗林

よそはもうちょっと安いから値引きしてください、なんて言われたら断ればいいわけです。車の購入でディーラー同士を競わせるような、そんな商売じゃないからね。

読者

上から目線のお客さんは断って、同じ目線で接してくれるお客さんとだけ付き合いたいです。

可能性②お客の8割の満足から微妙に外れている

もうひとつはね、自分が提供しているサービスが、お客の8割の満足から微妙に外れているんだけど、ちょっと言えば8割に到達するから言ってみました、っていうのがあります。

栗林

お客だってね、相手にいろいろ言うのは面倒だから、自分の8割の満足に満たないと思ったら、何も言わずに他を探しますよ。そこをね、面倒だと思ってもわざわざ言ってくるというのは、あとちょっと言えば自分の満足に達するだろうって思いがあるんですよ。

もしね、そういうお客の要望によってお客が8割の満足に達するなら、それはきちんと拾い上げてパッケージに反映させたほうがいいいわけですよ。

読者

無理な要望は断ってもいいが、商品の質を上げてくれる要望は拾うんですね。

ビジネスゲームで勝つ判断基準「お客の多数が望んでいるか」

そうすれば、声に出さずに立ち去っていったお客も、これからは立ち去らずに注文してくれるようになるから、売り上げが増えるじゃん。要望に応えることで作業工数が大幅に増えてしまうなら、値上げも含めて価格を見直せばいいんだよね。ビジネスは、最終的に手元現金を多く残すゲームだからね。

ということはね、お客の要望で切って捨てるべき要望と、反映させることで売り上げが増える要望があるんですよ。その見極めをどうやるかが、ビジネスの腕の見せ所なんです。

読者

その見極めって、どうやってやるんですか?

見極めの判断基準はね、お客の8割ぐらいの多数のが望んでいるかどうかを考えることなんです。

ヘルシーバーガーは売上が上がるが、ウサギ肉バーガーは売上が下がる

例えばマクドナルドで、鶏むね肉を使ったヘルシーバーガーのラインナップを増やすことは、多くのお客の要望に応えることになるんですよ。

栗林

鶏むね肉は高たんぱく低カロリーで人気のアイテムだし、アメリカにはチックフィレという鶏肉専門のバーガー店があって、女性に大人気なんです。だからマクドナルドがやったら、多分売れます。やらないのには細かい事情があるんだけどね。

読者

ヘルシーバーガーがあったら、私も食べてみたいです!

これに対して、ウサギ肉のハンバーガーを増やすのは、1000人に1人ぐらいの要望には応えることになるけど、多数のお客の要望でないことはわかりますよね。で前回お話したけど、こういう少数のお客の要望に応えちゃうと、こちらの作業コストが上がるのに加えて、お客は選びにくくて買いにくいという状態になって、結果として売り上げも利益も下がります。だから、やっちゃいけないんだよね。

お客のことを考えに考え抜いて改良1000回しましょう

今ね、食べ物を例に出して説明したんだけど、食べ物って原始的欲求だから、感覚で理解しやすいでしょ。でもこれがね、ウェブデザインとかマニアックな自分のビジネスの話になると、急にわからなくなっちゃうんだよね。誰でもそうなんだけど、自分のビジネスのお客の気持ちが一番わかりにくいっていう。灯台もと暗しっていうのかな。

でもそこはね、自分のビジネスだからこそ、お客のことを考えに考え抜いて答えを出す必要があります。

栗林

それでね、私はいつも改良1000回って言ってるんだけど、こういうことこそ細かい調整として延々とやり続けるんですよ。お客の要望を反映させてちょっとやってみたけど、他のお客から同じ要望は全然なくって、むしろ他のお客を混乱させただけなら、すぐに元に戻せばいいんですよ。

読者

頭の中で考えるだけだと、分からないことが多そうですね。

これは失敗じゃなくて、これは違うんだってことがわかった、小さな成功なんだ、次は違うことしようって思えばいいんです。こういうことを1000回繰り返すつもりでやっていると、数十回やっただけでライバルをごぼう抜きできるんです。

反映するべきお客の要望を探す方法って、価格設定も含めていろんな方法があるんだけど、それはまた別の機会があったら話すので、今は試行錯誤をいっぱいやってください。自分流で数十回やるだけでも、ライバルをごぼう抜きできますから。

範囲外の要望が多い時は、提示している情報が少なくないか見直しましょう

栗林

あとね、依頼を受けたあとに、こちらの範囲外の要望があまりに多くて困るとしたら、依頼前に自分が提示している情報が少なすぎてお客に伝わっていない、ということがあります。どのお客だって他と比較したうえで自分に頼んできてるから、比較の過程でこの業界ではだいたいこんなふうにやってくれる、という見通しを持ちます。

そのお客の見通しと、自分の見通しに違いがありすぎるのなら、自分が提示している情報を見直したほうがいいよね。

読者

「お客さんがどんな見通しを持っているか」を常に考える必要がありますね。

あと、たくさんのお客を相手にしていると、変な要求をしてくるお客に必ず出会います。数は少ないけど、一定数は必ずいるんですよ。こういうのはね、ちゅうちょなく断ってしまえばいいです。ビジネスは対等関係ですから対等じゃなければ断っていいんです。

こっちだって、お客を選ぶ権利があるんだから。前払い金を全額返して、さっさと関係を終わらせましょう。さっさと終わらせると、不思議なものですぐに次の仕事が入ってくるんですよ。

本日は以上です。

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