【フリーランス経営哲学講座】#21お客の要望って、どこまで応じればいいの?(前編)

読者

良いお客さんもいますが、態度の悪いお客さんもいて困っています。「フリーランスで仕事ないんでしょ?仕事あげるよ」みたいな上から目線の人もいるんですよね。お客さんの要望はどのくらいまで対応すればいいんですか?

栗林

フリーランスをしていると、お客はいろんなことを要求してきます。もちろん要望にはできるだけ応えてあげたいけど、お客の要望にはキリがないし、こちらも時間ばかり取られて大変になってしまいます。

かといってお客の要望を断ってばかりいたら、他にお客を取られてしまうかもしれないですよね。こういう場合、どう考えたらいいのか考えてみましょう。

フリーランスの特徴「お客に細かい要求をされやすい」

栗林

最初に言っておきますけど、今日の話はいつもより難易度が高めですから、集中して聞かないとわからなくなるかもしれないです。あと、1回じゃ話しきれないかもしれないです。

フリーランスってのは、お客に細かい要求をされやすいっていう特徴があるんですよ。お客から見て相手が大企業だったら、全国で画一的な対応をしているから応じてもらえないだろうと思って、変な要求はしないんですよ。

例えばマックでハンバーガーを注文するとき、メニューに従って注文するのは当たり前で、イノシシのお肉のハンバーガーください、って注文する人は誰もいないんですよ。

読者

私もメニューの中でしか頼んだことないですね。

圧倒的に儲かる方法「規格化、パッケージ化する」

ところが相手がフリーランスだと、個人だから小回りが利くので、細かいオーダーもきちんと応じてもらえると思うんですね。だから、断られてもいいからとりあえず何でも言ってみる、みたいな人も結構いるんですよ。

栗林

値引き要求なんかも、その典型例なんですよ。マックのハンバーガー買うのに、10円安くしてよって人はいないのにね。でね、本題のお客の要望にどこまで応じるかって話の前にね、知っておいてほしいことがあるんですよ。

それはね、商品やサービスっていうのは、規格化、パッケージ化したほうが圧倒的に儲かるってことです。

反対にね、個別の要望に応じるオーダーメイドみたいなやつほど、儲からないんだってことをわかっておいてほしいんですよ。

読者

じゃあフリーランスも大企業みたいに規格化、パッケージ化した方がいいですね。

規格化された商品を売る理由①「生産コストが下がるから」

マックのハンバーガーもそうだし、トヨタ自動車でもいいんだけど、大企業ってみんな商品が規格化されていたりパッケージ化されていたりして、同じものを大量に作って売ってるでしょ。それはそのほうがたくさん稼げるからであって、だから稼ぎまくって大企業になったの。

栗林

トヨタ自動車にプリウスって車があって、ボディカラーや付属パーツは選択できるけど、プリウスはプリウスでしょ。オプションで選択できるっていったって向こうが指定した範囲でしか選べないし。こっちが虹の7色のボディカラーがいいなぁって言っても、それはできませんって断られるよね。

じゃあ、どうして大企業が規格化された商品ばかり売るかっていうと、一つは生産コストが下がるからなんだよね。細かいオーダーに対応してしまったら、たくさんの生産設備が必要になって、その設備費を回収するためには値段を高くしないといけなくなるんだけど、値段が高いと売れなくなっちゃうからね。

読者

商品の種類が増えれば増えるほど生産コストがかかっちゃうんですね。

規格化された商品を売る理由②「選びやすく買いやすい」

栗林

で、この話はみんなすぐに理解できて、そんなの当たり前でしょ、みたいに思うんですよ。ところがね、もう一つの理由に、みんな全然気がついていないの。ほとんど意識してなくって、いつの間にか買っちゃってる、ていうのがあるんですよ。

それはね、規格化、パッケージ化したほうが、選びやすく買いやすい、っていう理由があるんです。マックのハンバーガーって、お値段そのままで100種類のハンバーガーを提供することはできますよ。たぶんね。100種類あったら、少しでも多くのお客の要望に応えることができるから、そのほうが売り上げが上がるって思うじゃん。

読者

お客さんの欲しい物がないよりはあった方が売り上げが上がりそうですね。

お客の要望に応えようとすればするほど売り上げが下がります

でもね、現実は逆で、売り上げはむしろ下がるんですよ。

どうして売り上げが下がるかというと、100種類もあったら選びにくいからです。

栗林

ハンバーガーを選ぶのにかける時間は、ほとんどの人が1分以内です。ハンバーガーって昼ごはんに食べる人が一番多くて、食べる時間も他のランチに比べるとはるかに短いです。

読者

箸もフォークも使わないで済みますもんね。

お客に頭を使わせなければ勝ち組になれる

人はね、そういう商品を選ぶのに、頭を使いたくないんです。それは頭が疲れるから。頭で十分に考えるのに見合ったものが得られるとき、人はきちんと頭で考えるけど、得られるものが大したものではないときは、頭を使うのが嫌なんです。

だからマックのハンバーガーの種類は、お客の脳みそに負担をかけない程度の種類に抑えられているんです。

栗林

人はね、できるだけ自分の脳みそを使わずに、できるだけ楽をして自分の願いを叶えたい、って思ってる生き物なんです。だからね、脳みそを使わずに自分の願いを叶えてくれるものばかり買おうとするし、そういう商品やサービスを提供している人が、勝ち組になるんですよ。

読者

たしかに考えるのはめんどくさいし、私も楽させてくれる商品の方を買いますね。

脳みそを使わせずに8割の満足を目指す

これから、やっと今日の本題に入ります。あなたがお客にあれこれ要求されるのがやたらに多いってことは、お客が脳みそを使わずに、お客が「まあこんなもんでいいかな」と8割の満足を思ってくれるようなサービスを提供してないってことです。

読者

8割でいいんですね!100%満足をしないとクレームを言ってくるお客さんもいそうです。

栗林

お客ってのは、100%満足することは絶対にないです。100%の満足って、究極はお値段無料だからね。でも、こっちも商売だから無料ってわけにはいかないでしょ。だから、何をどれだけ提供したって100点はもらえないの。

ということはね、お客にとって8割の満足を目指せばよくって、8割ぐらい満足してくれれば、お客は「まあこんなもんでいいかな」と思ってあきらめてくれるんですよ。

読者

じっくり10割を目指すよりも、規格化して8割を目指した方が良さそうですね。

お客さんは適当なことしか言いません

その結果、それ以上の要求はなくなります。じゃあ、お客にとって8割の満足ってどれくらいかっていうと、人は脳みそを使いたくない生き物だから、お客はざっくりと適当なことしか言わないの。自分の感情を正確に言語化するって脳みそを使う大変な作業だから、人はできるだけやりたくないの。

栗林

でね、普通の人にとって大変だからやりたくないとかやれないことを、高い技術でやってあげるから、お金がもらえるってのはわかるよね。みなさんの仕事は、まさにそれでしょ。

ということはね、お客がウェブデザインを頼みたいと思ったときに、何をどう頼んだら自分は8割ぐらい満足するのか、お客は正確に言語化することをやりたくないんです。だって脳みそ使うと疲れるから。

読者

規格化ではなくオーダーメイドでやったら仕事をする側も疲れそうですね。

ビジネスの最終目標「お客の要望をくくって画一化する」

栗林

感情の言語化って疲れるんですよ。だから、お客に変わってあなたが8割の満足を正確に言語化してあげる必要があるんです。で、その正確に言語化されたものが、まさにね、パッケージ化された商品やサービスに相当するんです。

ビジネスにおいて商品やサービスの最終目標は何かといえば、「お客の要望をくくって画一化する」です。

どれくらい商品やサービスを絞ってやればお客は脳みそを使わずに選びやすく、8割満足してくれるのか、それを考えて形にするのが最終目標なんです。

読者

規格化、パッケージ化は本当に大切なんですね。

栗林

ハンバーガーが1種類しかなかったら、選ぶのに頭は使わないけど、お客にとって8割の満足にはほど遠いから買ってもらえないです。でも100種類あったら、今度は選ぶのに疲れて買ってもらえないです。

だからね、みなさんがもし

「お客様の小さな要望はできるだけ応えますから何でも言ってくださいね。」みたいなことを言ってたら、それはサボリです。

だってお客に頭を使わせてるじゃん。ということで、伝えたいこの半分も話せてないので、続きは次回でお願いします。

本日は以上です。

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