【フリーランス経営哲学講座】#53成功体験は最後に自分を苦しめる

読者

自信をつけるために成功体験が必要と聞いたのですが、悪い面もあるんですか?

栗林

もちろん自信は大切ですが、過信してしまうと身を滅ぼしてしまいます。ブラック企業とフリーランスを比べながら、成功体験の正しい扱い方を考えていきましょう。

本記事の動画はこちら

選択肢が奪われていくブラック企業

ブラック企業に勤めていて、ボロボロになってもなかなか会社を辞めない人っていますけど、はたから見ると、あれはとっても不思議に思えますよね。なんで辞めないのかなって、そんなにツライならやめればいいのに、って疑問に思いますよね。

栗林

実はですね、ブラック企業に勤めている人って、初めのうちは、辞めようかなって何度も悩んだんですよ。辞めたらあの仕事しようかなとか、今のうちに転職活動しようかな、とか考えてはいたんです。でも、辞めようかなって悩みながらもズルズルと勤め続けているうちに、辞めるための選択肢が一つずつ減っていくんです。

読者

選択肢が減り続け、いずれ動けなくなるのは怖いですね。

目の前の選択肢は時間が経つとなくなります

最初の頃は、休みの日に資格試験の勉強をして、資格を取ったら転職活動しようと考えました。でも、休みの日は疲れてゴロゴロしているだけで終わってしまって、勉強のやる気が起きないんです。すると、資格試験に合格してから転職するのは無理だからやめよう、って思います。こうして、一つ選択肢が減るんです。

次は、転職サイトに登録してみて求人を探そうってなります。でも、似たような業界は嫌だなとか、新しい業界は不安だなとか、いろいろ迷い始めます。自分のやりたいことは何だろうとか、いろいろ考えているうちに、だんだんと考えるのが面倒になってくるんですよ。

読者

時間は有限といいますが、いざ動こうとすると面倒に感じますよね。

そうしているうちに、転職サイトを見たり登録したりするのをやめてしまいます。こうして、またひとつ選択肢が減っていくんです。

こうやって、選択肢を徐々に失っていくと、最後には「辞める」という選択肢まで消えてしまって、ずっと勤め続けてしまいます。

身体も心も限界なのに止まれない

うつ病とかになって身体を壊しているのに、辞めるという選択肢は完全に消滅しているので、身体を壊してでも勤め続ける、という一本道をひたすら歩き続けます。で、最後には出勤できなくなって、自動的に退職となるわけです。この、いつの間にか選択肢が全部なくなってしまっている感覚は、ブラック企業でボロボロになってしまった方から、よく聞く話なんですよ。

読者

気がついたら身体も心もボロボロで仕事も失うのは怖すぎます。どうすれば、こんな事態を避けられますか?

栗林

どうして選択肢が徐々に減っていってしまうかというと、忙しすぎるから考える気力を奪われているのはもちろんなんですけど、もうひとつは、キレイに転職しようとしているからなんです。

まじめな人ほど不幸になる原理

キレイに転職というのは、次が決まってから退職するとか、仕事の引継ぎをきちんとやるとか、自分の後任をしっかり育てようとするとか、そんな感じです。要するに、まじめすぎる感じで、完璧主義傾向の人ってことですね。

こういう人たちって、小さい頃から順調に育ってきて、人生のレールから外れたことが一度もない人たちなんです。高校中退したとか、大学で留年したとか、フリーターを長くやってましたとか、あんまりいないです。

まじめなので、人生のレールから外れないんですね。で、人生のレールから外れないと、それは成功体験になってしまいます。そしてその成功体験の原因は、自分がまじめであるからだ、と思っています。だから、まじめであることがやめられないんです。

読者

「まじめだと上手くいく」と思い込んでいたら、やめるなんて考えられないですよね。

成功体験が自分を苦しめている

栗林

人間って、自分を成功させてくれた武器を捨てることって、なかなかできないんですよ。できないどころか、同じ武器を長く使い続ければ使い続けるほど、その武器にしがみつくようになります。だから、まじめという武器にいつまでもしがみつくので、ブラック企業がやめられないんです。

読者

まじめな人はよくほめられますが、良い面だけではないのですね。

 成功体験というのは誰でも大なり小なりあるんですけど、その成功を体験させてくれた武器にいつまでもしがみついていると、今度はその武器を手放せないことによって、自分を苦しめることになるわけです。

フリーランスとブラック企業の共通点

栗林

今回は、まじめという武器がそのいい例ですよね。まじめさえ手放すことができたら、ブラック企業をさっさとやめることができて、身体を壊すこともなかったわけです。

これはビジネスでも同じなんですよ。何か一つのやり方でうまくいったとして、そのやり方で20年もやり続けてしまうと、他のやり方ができなくなってしまうんです。

ビジネスは状況が刻々と変わるので、同じことを続けているだけでは必ず売り上げが下がるんです。

でも、売り上げが下がっても運良く惰性でなんとか続いてしまうと、結局はそこから離れられなくなります。で、いつか完全に売り上げが経費を下回ってどうにもならなくなって終わるんですけど、20年も続けちゃってるから変えられないんです。

読者

過去の成功体験にしがみつくと、今の自分を滅ぼしてしまうのですね。

栗林

これって、ブラック企業をやめられなくて身体を壊して自動的に退職、というのと構図は同じなんです。成功体験をもたらしてくれた武器にしがみついていると、人生詰むまでしがみついてしまって、最後には本当に詰むんです。

過去の成功体験にしがみついていませんか?

これを聞いている人はフリーランス系が多いでしょうから、ブラック企業を辞められない人を他人事のように思ったかもしれませんが、成功体験の武器にしがみつく、という点ではあんまり変わらないですよ。

いま、ある程度売れている人は、ビジネスの理屈は理解しているでしょうけど、このままだと今の自分の売上が2年後には3分の1になるって、想像できないでしょ。さすがに、3分の1になったらまずいよね。

別に、みんながそうなると言っているわけじゃなく、脅しているわけでもないです。ただね、

人間って気が付かないうちに成功体験にしがみついちゃうんです。

読者

「自分は大丈夫」と過信するのは危険ですね。

成功体験って、それぐらい魅力的なんです。で、魅力的だから、長く付き合っちゃうんですけど、その長さがいつか自分を苦しめることになるわけです。

ブラック企業を辞められない人も、まじめであるがゆえの成功体験期間が、かなり長いですよ。小学校から大学まで16年間+社会人何年間ぐらいの長さがあったりします。これぐらい長いと、やっぱりしみついてしまって取れなくなります。

武器を磨いて上手くいく人と上手くいかない人

栗林

同じ武器を使い続けても、その武器を磨き続ければずっと使えるという考え方もあるんですけど、それは武器の種類と磨き方によります。芸術やスポーツのような個人技なら、死ぬまで磨き続けてもいいでしょうね。

でも、ウーバーイーツの配達だったら、磨けばある程度は上達するけど、すぐに上限レベルに達してカンストします。カンストしたものは、やり続けても変化がないですから、磨いていることにはならないわけです。

読者

上限があるなら、必要以上に磨くのは時間がもったいないですね。

というようにね、自分のビジネスの武器を磨くところがなくなってきたら、その武器にいつまでもしがみついているんじゃなくて、他の武器を作るとかしないと、いつか自動的に退職させられますよ。

一つの武器を磨き続ける恐ろしい未来

栗林

みなさんはブラック企業に勤めているわけじゃないんだから、選択肢が徐々に減っていくことはないわけです。むしろ、普通のサラリーマンより選択肢を増やす活動はやりやすいはずです。

でもみなさんが他の選択肢を増やす活動をやらないのは、他の武器に変えてしまうと今より売り上げが落ちるんじゃないか、今より忙しくなるんじゃないか、という恐怖心があるからなんです。

でもね、10年に1度くらいは武器を変えるつもりでいないと、本当に消滅しますからね。

読者

消滅したくないので武器を磨きつつ、10年に1度くらいは変えます!

今日は以上です。

【無料】『フリーランス経営哲学講座』メールマガジン

本サイトの内容をさらに深く掘り下げたい方向けに、フリーランス経営哲学講座では、ZoomによるYoutube公開収録を無料にて行っています。
本メルマガにご登録された方は無料で参加可能ですので、こちらからお気軽にご登録ください。